ラスタマンの靴職人が全て手作業で製作するジャマイカサンダル

JAJAマガジン

昨年CHAKA CHAKAで販売し、好評だったジャマイカらしいサンダルが、今年パワーアップして帰ってきます。 サンダルを作ってくれたのは、ジャマイカの首都キングストンにワークショップを構えるシューブランドLove Drumz Sandalz(ラブドラムズサンダルズ)の「マキ」ことMilton Bonner(ミルトン・ボナー)さん。ここでは、CHAKA CHAKAとマキさんとの出会いや、今年新たに仕入れるLove Drumz Sandalzの製品についてご紹介します!

1、キーパーソン「カブさん」

2、コロナが後押ししたフェアトレード事業

3、ラスタマンの靴職人「マキ」という人

4、ジャマイカの人たちと共に育つ仕組みを目指して

1、キーパーソン「カブさん」

美術家、プランツマン、ハーバリストであるKazuuことカブさんと、青年海外協力隊時代の配属先ワーカーたち。

マキさんとは、筆者が2019年に青年海外協力隊員としてジャマイカで活動していた時期に、同じくジャマイカで活動していた元・青年海外協力隊員の「カブさん」を通じて知り合いました。

植物を扱うアーティストであるカブさんは、現役隊員当時「花き栽培隊員」として、首都キングストン市内にある知的障がい児などが通うスペシャルスクール(日本で言う特別支援学校)のガーデン/グリーンハウスで活動されていました。

炎天下で根を詰めて働き、熱中症になるほど仕事熱心なカブさん。それまであまり手入れが行き届いていなかった学校の畑が、カブさんの働きによって素晴らしい菜園、またハーブガーデンへと変化を遂げ、その完成度の高さに誰もが驚き、感動しました。彼女の存在が受け入れ先の学校から感謝され、重宝されていたことは言うまでもありません。カブさんが去った今も、学校のワーカーによってそれらの菜園が世話されているということです。

出典:カブさんInstagram @poppysnoopy

青年海外協力隊としての活動が終了する間際の2020年3月末、筆者と共に日本へ緊急帰国を余儀なくされたカブさんでしたが、昨年冬にご自分の意志でジャマイカに戻られ、2021年4月現在もジャマイカのローカルハーブについて研究されています。

Love Drumz Sandalzのマキさんと親しいカブさんは、仕入れにあたっての交渉・調整、プロダクト開発等でご協力頂いていて大変心強い存在です!とってもユニークな活動をされているカブさんについては当ホームページの「メンバー紹介」でもご紹介しており、彼女に行ったインタビューについても「ジャジャマガジン」で近日公開予定となっていますので、そちらもお楽しみに!

カブさんと、レゲエ界の伝説的ギタリストChina Smith率いるBinghistra Movement

2、コロナが後押ししたフェアトレード事業

Mackie(マキ)ことMilton Bonnerさん。ダウンタウンに構えるワークショップにて。

ジャマイカでも日本同様、コロナウイルスの影響による経済的ダメージは凄まじいものです。筆者が帰国してすぐ、ジャマイカの友人が次々と職を失いました。ジャマイカには休業補償や失業保険、生活保護といった社会保障がほとんどありません。日本では一人10万円の給付金がありましたが、ジャマイカ政府から出された給付金は10,000ジャマイカドル、つまり7千円ほどでした。あっという間に予算に達して打ち切りとなり、筆者の周りでその給付金を手にした人は一人もいません。

もともと貯金が無いうえ、突然収入が途絶えてしまった友人たち。いたたまれずに、ごく一部の人に少額の寄付を送ったりもしましたが、いつまでも続けられることではありません。うーん、と悩んだ末「困った友達を全員助けることはできないけれど、ものづくりをしている友達から商品を買って売ることはできる!」という発想が生まれ、それがCHAKA CHAKAとして初めて取り組んだフェアトレードプロジェクトとなりました。

マキさんのサンダルと同時期に仕入れたピアス Aisha’s Inspirations[RASTA LOVE]

まず、ジュエリーデザイナーの友人からハンドメイドジュエリーを、土産物屋を営む友人からジャマイカンアクセサリーを仕入れることを決めました。二人とも観光業に携わっていましたが、観光客が来なくなって困窮していたので、小さな取引にも関わらず「心から感謝するわ。God bless you!あなたに神のご加護がありますように」と大変喜んでくれました。

さらには、カブさんのご紹介でマキさんのサンダルの取り扱いが決まり、CHAKA CHAKAオンラインストアでメイド・イン・ジャマイカ商品を販売することになったのでした。

現在もそうですが、コロナの影響で船便が使えないため、高額の航空便を利用する他なく、どうしても仕入れ原価が上がります。当時、商品によっては仕入れ値と売値がほぼ同じ(!)という、ビジネスとしては全く成り立っていない状況でしたが、それでも「ジャマイカで困っている仲間を応援したい」という思いと「コロナ渦の今こそ始めなくてはいけない」という直感から、取引を決行したのでした。

オンラインストアで地道に販売した他、レゲエのリンク(つながり)を活かした野外イベントでの出店販売も行いました。SNSを通してCHAKA CHAKAを知り商品を買ってくれた方、出店を快く承諾してくれたイベンターや店主、出店ブースに来てお買い物してくれた方、協力してくれた先輩や友人など、たくさんの方がCHAKA CHAKAをサポートして下さいました。

そのお気持ちに深く感謝すると共に、これからはよりサステナブルな事業の在り方を模索しなくてはいけないと強く感じているところです。

野外レゲエイベントYARD MAN CAMP FESTIVALに出店!マスク着用のディスタンス野外イベントは大盛況だった。2020年10月、兵庫県三田市にて

3、ラスタマンの靴職人「マキ」という人

Love Drumz Sandalzオーナー、デザイナー、職人のMilton Bonner通称「マキ」氏

マキさんが靴づくりを始めたのは2010年のことだそうです。当時市民学習室のような所でジャンベを教えていたマキさんが、友人から靴づくりを薦められたのがきっかけだったと、インタビューで話してくれました。独学から始めて、さらなる技術獲得のため職業訓練校に通うなど、切磋琢磨し自らのスキルアップに努めるマキさん。現在は首都キングストンのダウンタウンにワークショップを構え、靴の修理からオーダーメードまで、全て一人で、手作業で行ってます。

マキさんのワークショップの天井はラスタのシンボル「ダビデの星」とも呼ばれる六芒星。

マキさんのワークショップには、お客さんもそうでない人も含め、沢山の訪問客があります。筆者の取材中も、マキさんの友人やお客さんの訪問や、近所の冷やかしもあり、とても賑やかでした。なぜか分からないけどいつもいる少年の存在が「いかにもジャマイカ」な雰囲気のワークショップで、マキさんはマイペースに作業をこなしていました。

マキさんの手

マキさんのこよって長く伸ばしている髪の毛は「ドレッドロックス」と呼ばれるヘアスタイルです。レゲエの神様と崇められるボブマーリーの髪型と言ったらお分かり頂けるでしょうか。このドレッドロックスは、ジャマイカ発祥の「ラスタファリズム」通称「ラスタ」という、宗教のような「生き方」から成るものです。

宗派や個人の信条によってライフスタイルも様々ですが、広く見られる特徴としては、菜食主義で肉を食べず、西洋的な薬ではなくハーブ等の自然薬を使うなど、できるだけナチュラルな生活様式を貫きます。自然を愛し、不自然を否定し、大量消費社会に抗い、愛と平等を訴えるその強烈なスピリットは、レゲエミュージックとなって世界中に届けられ、賛同されています。

マキさんのドレッドロックスはとても長いので、作業する時はまとめている

マキさんがジャンベを教えていることについて前述しましたが、マキさんはジャマイカの伝統的な音楽を奏でるミュージシャンでもあります。マキさんはKingston Drummersというグループのリーダーで、これまで地元でも海外でもたくさんのパフォーマンスを行ってきたそうです。ガーナ、ベネズエラ、ケイマン諸島への遠征の他、2003年と2004年にはジャマイカ政府の文化所長と共にイギリスに渡り、ジャマイカの文化やドラムについて教えたと誇らしげに話してくれました。マキさんの演奏動画も公開を予定していますので、そちらも楽しみにお待ちください!

インタビュー後にジャンベを演奏してくれたマキさんとカブさん。

4、ジャマイカの人たちと共に育つ仕組みを目指して

JAMALOHA撮影風景。マキさんとカブさんもモデルになってくれました!

日本人が大好きというマキさんは、「カワイイ」「アリガト」など、日本語を少し話します。日本のみなさんに自分の製品を使ってもらえることが嬉しいと、先日のインタビューでも話してくれました。インタビュー中に、コロナが仕事に影響しているか伺うと「逆に仕事が増えてるくらいだよ!」と答えられていたマキさん。その点について、マキさんの友人であり彼のサポーターでもあるカブさんにお話を伺うと「実際は資金繰りに苦労することもあって、ビジネスが安定するまでにはまだいくつかの課題があると思う」と仰っていました。傍で見守るからこそ分かる苦労が、そこにあるのだと思います。

今年新たに仕入れたジャマイカサンダル

生まれたてのNPO法人LINK UP JAJAも「持続可能なあり方をいかに構築するか」という課題に向き合っています。ジャマイカの人たちから学び、ジャマイカの人たちと共に育ち、お互い刺激し合えるような関係を目指す「ジャジャ」の挑戦は、始まったばかりです!

左からお友達のタンカ君、カブさん、マキさん、筆者。