ジャマイカでは経済格差が大きく、高い物価と低い賃金のアンバランスから(※)貧困に苦しむ人が多くいます。身体、知的、精神などに重度の障害を持つ人が仕事に就ける割合は極めて少なく、大多数の重度障害者が貧困状態にあります。NPO法人LINK UP JAJAはこの問題に取り組むため、2021年に「ジャマイカにおける障害者の居場所づくり事業」を立ち上げました。特別支援学校の卒業生である知的障害を持つ若者や、ストリートで物乞いをして命を繋ぐ身体障害者を対象に、大阪生まれの織物「さをり織り」を通して、障害者のしごとづくりに取り組んでいます。
ジャマイカでは日本の生活保護や障害基礎年金のような福祉制度が整っていないため、障害者を含む社会的に脆弱な人たちが生き延びるのは大変なことです。少額(月3000円ほど)の現金支給や貧困世帯の子どもの給食代免除など、ジャマイカにも障害者や貧困者を支援するための制度がわずかながら存在するのですが、多くの人は情報へのアクセスが無いために必要なサービスを受けることが出来ていません。NPO法人LINK UP JAJAは、必要に応じて障害当事者に同行して省庁等での手続きを行う他、町内会グループと協働して地域の貧困者を支援することで、必要とする人が福祉サービスを最大限利用できるよう支援しています。
学校を卒業した後、ジャマイカの障害者は就労や社会参画の機会にほとんど恵まれません。NPO法人LINK UP JAJAは障害を持つ人たちが社会と繋がって生きる「居場所」を確保し、ものづくりによって収入を得て自立した生活を目指すための支援として「ジャマイカにおける障害者の居場所づくり事業」に取り組んでいます。活動の柱であるさをり織りに留まらず、現地の素材を利用したものづくりや障害者アートにも取り組み、障害当事者の個性や特性に合った「しごと」を創出することを目指しています。
10. 人や国の不平等をなくそう
「中進国」に位置付けられるジャマイカでは、開発が進み都市部で大きなビルの建設が盛んである一方、貧しい人は貧しいままで、残念ながら「底上げ」がなされているとは言えません。障害を持つ人たちはなおさら、経済発展の恩恵を受けることが出来ていません。NPO法人LINK UP JAJAはさをり織りなどの活動によって障害者の仕事を生み出すことはもちろん、人々に障害者の可能性や魅力を知ってもらうことが重要だと考えています。障害当事者と共に社会に支援の必要性と差別の撤廃を訴え、ジャマイカの地域がインクルーシブな社会に一歩でも近づくよう、今後も草の根レベルで活動を続けてまいります。
障害があるからといって就労や社会参画の機会に恵まれないのは差別です。NPO法人LINK UP JAJAは「すべての人に居場所を」というスローガンを抱え、障害者を含む社会的に脆弱な人たちが社会と繋がって、自分の地域でいきいきと暮らすことを目標に支援しています。日本国内においても、国際協力への関心を高めるための講演活動を行う他、異文化理解や国際交流を目的としたイベントの主催、後援を行っています。
17. パートナーシップで目標を達成しよう
NPO法人LINK UP JAJAは法人の活動や精神に賛同頂ける市民の皆さま、企業や団体の皆さまとパートナーシップを結び、活動の輪を広め、SDGsの目標達成に貢献します。