洋裁歴46年!ジャマイカ人テーラーのユリさん

ジャマイカと日本が「リンクする」ことを目指して立ち上がった「NPO法人LINK UP JAJA」。

CHAKA CHAKAはそのNPO法人リンコップジャジャの事業として、ジャマイカの職人さんたちとの出会いを大切に、公平に取引し、持続可能なビジネスモデルを目指して展開していきます。

ジャジャ立ち上げ企画として、日本でプロデュースした布をジャマイカに持って行き、ジャマイカの仕立て屋さんに作ってもらったのが「JAMALOHA」(ジャマロハ)です。

日本の浮世絵を思わせる波とジャマイカのシンボルとも言えるラスタカラーが、まさに日本とジャマイカをLINK UPした製品となりました!

▲JAMALOHA

JAMALOHAを仕立ててくれたのは、ジャマイカの首都Kingstonに隣接するSt. Andrew県に暮らすUley(ユリ)さん。洋裁歴46年のベテランで、奥さんと娘、孫2人の4人で暮らしています。

灼熱のKingstonとは打って変わってユリさんが暮らす地域は標高が高いため、朝晩は涼しく快適です。緑豊かな自然の中にユリさんの家はあります。

▲ユリさんの家の二階からの眺め。バナナやマンゴー、里芋や豆など、様々な作物が植えてある。

JAMALOHA製作過程では、様々なチャレンジもありました。ユリはジーパン作りが得意で、ジーパンや洋服を仕立てる際は顧客の寸法を測ってカスタムメイドすることが基本です。しかし今回は、まったく同じものを何枚も作って欲しいという、彼にとっては初めての依頼となりました。

コロナウイルス感染拡大の影響で帰国するまでジャマイカで活動していたNPO法人LINKUPJAJAの理事であるIoriが布をプロデュースし、同じくジャマイカで活動していた協力隊員がパターンやサンプル作りに協力してくれたのですが、ユリにとってはパターンを使うというのはほとんど初めてのことでした。

初めは10センチ以上の誤差が出るなどしたため、指示書を一緒に読み込み、パターンを使う意味を確認し、同時に日本のスタンダード「とにかく日本人は完成度にこだわる」ということを理解してもらいました。

            「そういうことなら分かった。これからはパターンを使おう。縫い目もなるべく完璧に近づける。ボスはそっちなんだから、私は雇い主を満足させることに努めようではないか!」

と半分冗談で、しかしすごく真剣にこちらの意向を飲み込み、同じものを何枚も作るという作業をこなしてくれるようになりました。彼の優れた柔軟性と対応力に正直驚きました。

30年もののミシン。「29歳になる娘のタンデカより年寄りのミシンだ」とユリ。



50代半ばのユリ。強靭な肉体を持ちながらも老いを実感することはあるようで、ミシンを使う際は老眼用眼鏡が必須だとか。

彼との出会いはおよそ5年前。実はユリさんは、わたしのジャマイカの母「リサ」の養子の息子なのです。うーん、ややこしい!

リサとの出会いは私が18歳でジャマイカに留学していた時のことでした。高校卒業後すぐにジャマイカに飛び、首都Kingstonの語学学校で英語を学んでいました。その英語コースの最終過程の先生がリサでした。アメリカ人ですが、イギリスとジャマイカのハーフの旦那さんと共にジャマイカに移住して50年になります。

            そのリサの一番初めの養子がユリなのです。実はリサは自分の子供3人に加えて、ジャマイカ人の養子を累計7人も育て上げています。リサと旦那さんのアンドリューについては、また別でご紹介したいと思います。ユリの幼少時代やテーラーになるまでの道のり、現在の家族を持つまでの人生など、ユリに直接語ってもらうため二度目ののインタビューを行いました。

第二弾へ続く。

JAM-ALOHA -made in Jamaica-

2020年、ジャマイカと日本が「リンクする」ことを目指して立ち上がった「NPO法人LINK UP JAJA」。

CHAKA CHAKAはその「NPO法人リンコップジャジャ」(以下「ジャジャ」)の事業として、ジャマイカの職人さんたちとの出会いを大切に、公平に取引し、持続可能なビジネスモデルを目指して展開します。

ジャジャ立ち上げ企画として、日本でデザインした布をジャマイカに持って行き、ジャマイカの仕立て屋さんに作ってもらった「JAMALOHA」。アロハシャツみたいだけれど、メイド・イン・ジャマイカなので「ジャマロハ」です。日本の浮世絵を思わせる「波」とジャマイカのシンボルとも言える赤×黄×緑の「ラスタカラー」が、まさに日本とジャマイカをLINK UPした製品となりました!

今回の商品をプロデュースしてくれたジャジャの理事を務めるデザイナーのIoriは、コロナウイルスの影響で緊急帰国する2020年3月まで、ジャマイカで青年海外協力隊員としてボランティア事業に従事していました。ジャマイカに派遣される以前から日本の伝統文化を題材として商品作りをしていた伊織の得意分野と、1年間過ごしたジャマイカで得たインスピレーションが融合し、まさに日本文化とジャマイカ文化が「リンクした」製品が生まれました。

▲JAMALOHAオープンカラー
▲JAMALOHAスタンドカラー

JAMALOHAを仕立ててくれたのは、ジャマイカの首都キングストンに隣接するセント・アンドリュー県に暮らす愛称「Uley(ユリ)」として親しまれるヒューバート・ピントさん。洋裁歴30年のベテランで、奥さんと娘、孫2人の4人で暮らしています。

▲愛称「ユリ」として親しまれるヒューバート・ピントさん。

灼熱の「コンクリート・ジャングル」であるキングストンとは打って変わって、ユリさんが暮らす「メリーランド」と呼ばれる地域は標高が高いため、朝晩は涼しく快適です。でこぼこ道を上った山の中腹、高級「ブルーマウンテンコーヒー」で知られるブルーマウンテンの裾の、緑豊かな大自然の中にユリさんの家はあります。

▲→で示しているあたりがMaryland(メリーランド)。ジャマイカはカリブ海に浮かぶ島で、お隣はキューバ、ハイチなど。
▲ユリさんの家の二階からの眺め。

メリーランド(Maryland)は、実はジャマイカでもあまり知られていません。ジャマイカ人にさえ「メリーランドって、イギリスの?」と聞かれます。ジャマイカは独立前はスペイン、そしてイギリスの植民地だったため、元宗主国の地名が多く見られます。

▲山間部に位置するMarylandの一番上、Top Marylandにあるバー兼クラブ。
▲「パトワの母」ミス・ルーの壁画。

写真は、メリーランドの広場にある「パトワの母」ミス・ルーことルイーズ・ボネットの壁画です。ジャマイカ人は壁画が大好きで、いたるところに大物レゲエ歌手や歴史的人物の肖像画が見られます。最近は「世界最速の男」ウサイン・ボルトの肖像画もよく見ます。

▲Marylandの乗り合いタクシーの運ちゃんたちと。

下町のパピンから、乗り合いタクシーで20分ほど山道を登ったところにメリーランドはあります。料金は片道100ジャマイカドル(70円くらい)。

Marylandに住む女の子たち、おそらく中学生くらいの年齢です。ジャマイカ人はとにかくファッションが大好きで、若い時からお洒落しています。

緑豊かなメリーランドで製作されたJAMALOHA製作過程では、様々なチャレンジもありました。ユリさんはジーパン作りが得意で、ジーパンや洋服を仕立てる際は顧客の寸法を測ってカスタムメイドすることが基本です。しかし今回は商品製作依頼という、彼にとっては極めて異例な依頼となりました。

布をデザインしたIoriと同時期にジャマイカで活動していた青年海外協力隊員※が、服飾のスキルを活かして商品のパターンやサンプル作りに協力してくれたのですが、パターンを使って全く同じ製品を何枚も作るのは、ユリさんにとっては不慣れな作業でした。

(※2021年4月現在、ジャマイカでの青年海外協力隊事業はコロナウイルスの影響でストップしている。再開時期不明。)

▲作業する時いつもメジャーを首にかけるユリさん

そのため、JAMALOHAプロジェクトに取り掛かってすぐの頃は、個体差10センチ以上の誤差が出るなどしましたが、これは想定内のことでした。現地で活動していた理事長も服飾経験がないため、日本にいるチームに助言を仰ぎながら、ユリさんと一緒に指示書を読み込み、パターンを使う意味を確認し、日本のスタンダードに近づくよう努めました。

            その結果、「分かった。これからはパターンを使おう。縫い目もなるべく完璧に近づける。ボスはそっちなんだから、私は雇い主を満足させることに努めようではないか!」と半分冗談で、しかしすごく真剣にこちらの意向を飲み込んでくれたユリさん。試行を重ね、彼はついにサンプル商品と全く同じサンプルを作ることを達成したのです。

彼の優れた柔軟性と対応力は、予想以上のものでした。私が驚くと、ユリさんは「数十年前、首都キングストンの港に『フリーゾーン』と呼ばれる免税の工場地帯があったんだ。私はそこでアメリカの会社が巨大な服飾工場を所有していた頃、その工場で働き、一日に何百枚という洋服を縫っていた経験だってあるんだよ。プロフェッショナルが何であるかは、ちゃんと知ってるんだ。」と誇らしげにご自分のスキルや経験について語ってくれました。

ジャマイカの当時のフリーゾーンについては、ドキュメンタリー映画「Life and Debt –失われた真実‐」で詳しく語られています。すごく勉強になる映画で、オススメです!

ユリさんが使うのは、30年物のミシンです。「29歳になる娘のタンデカより年寄りのミシンだ」とユリさん。

50代半ばのユリさん。強靭な肉体を持ちながらも老いを実感することはあるようで、ミシンを使う際は老眼鏡が必須だとか。目が真っ赤になるまでミシンに向かってくれたユリさんに感謝です!

【Blog記事 JAMALOHA②】に続く

木彫師トニーさんが彫る、黄金に輝くジャマイカの椰子の木。





今回は木彫り職人のトニーさんを紹介します!

トニーさんはモーリスさんがいるマーケットの斜め向かいにある、大規模な土産物マーケットであるOcho Rios Craft Market(オーチョリオス・クラフトマーケット)にお店を構えます。

やはり、この日も歩いているお客さんは私だけ・・・。ジャマイカでは観光客の受け入れを行っていますが、そのほとんどがオールインクルーシブホテルに滞在します。ジャマイカ政府もコロナウイルス感染拡大防止の観点から、ホテルの外に出ないよう要請しています。そのため、アメリカなどから観光客が来ないではないものの、街中には観光客が戻ってこないのです。

▲疲れたのでココナッツ飲んで休憩!この日は2時間以上マーケットを歩き回って品定めした。御覧の通り観光客が自分以外おらず、閑古鳥が鳴いていた。

少ないお客さんが入ってきたとなると、一つでも商品を売ってなんとかその日の売り上げゼロを免れたい思いから、マーケットに多数あるブースからのラブコールがハンパありません!

「ハロー、ナイスレディー!見るのはタダだから、見て行って。ほら、こっちこっち!」と有無を言わさぬ勢いでお店に導かれます。コロナ以前から結構強引ですが、やはり商売が厳しい状況にあるため、客引きの勢いがパワーアップしています!笑いごとではなく、本当に厳しいのです。

▲ココナッツ(ヤシ、椰子)売りのおじさん。ジャマイカでは飲むココナッツを「ジェリー」と呼ぶ。

▲ココナッツウォーターを飲んだあとは、実を割って中に残っているゼリーを食べる。これがまた美味しい!

大変な思いをされているお土産屋さんのみなさんに労いの気持ちを持ちながらも、こちらも商売ですから品定めには時間をかけます。この日は木彫りにフォーカスしていたのですが、マーケットに出ていた木彫りを全て見て、「この人!!」と思う木彫り職人さんに出会いました。それが、トニーさんです。

トニーさんの木彫りはデザインが可愛らしいのはもちろん、色使いがポップでキュート!サンセットを受けゴールドに輝くヤシの木の色使いに、一目惚れしました。

トニーさんにインタビューを申し込むと快く引き受けてくれましたので、ここでその内容をご紹介します。

(以下、T:トニーさん、C:CHAKA CHAKA)

C: トニーさん、あなたのことを少し教えて頂けますか?

T: 僕が小学校に通っていたくらい小さい時、僕のおじさんが木彫りをやっていたんだ。僕はそれを見るのが好きで、自分でも木彫りをするようになったんだ。

C: 何年くらいやっているんですか?

T: 20年はやってるね。もう長いことやってる。

C: あなたの作品を少し見せてもらえますか?何があるんだろう・・・

T: 恋人、ハーレーダビッドソン(なんででしょう?笑)、魚、エイ、キリン・・・

C: 自分の仕事は好きですか?

T: 好きだよ。好きなんだけど、ほら今コロナのせいでビジネスがスローなんだ(売り上げが少ない)。でも諦めずに、いつか良くなることを願って続けているよ。

C: ワクチンなんかの影響で観光客が戻ってくると期待されていると?

T: そうだね、観光客が戻ってきてちょっとでもお金を落としていってくれないと。

C: そうですね。トニーさん、日本の皆さんになにか一言ありますか?

T: ああ、君が次来る時は日本から友達を連れてきて欲しいな。そしたら君に何か良いものをあげるよ(お友達紹介してくれたらお礼をするよという意味。ジャマイカらしい!笑)。

C: ほんと、そうなるといいな!トニーさんありがとうございました。

(インタビュー終わり)

とっても素朴なトニーさん!彼の人柄が木彫りにも表れているようです。お部屋に、お店に、ジャマイカに降り注ぐ太陽をいっぱい受けたヤシの木の木彫り、いかがですか?

ジャマイカのローカル言語、パトワ語の魅力

私はパトワが大好きです。今年2021年の1月13日、アトランタから飛び立った飛行機がジャマイカの首都キングストンに降り立って間もなく、飛行機の外から整備員か何かのおっちゃんの叫び声が聴こえました。その「え?え?ちゃうがな、そこやないか!」的べたべたのパトワの響きが「あ~ジャマイカに戻ってきたな~」と感じさせ、思わずにやっとしていた私です。

   <目次>

1、パトワ語の語源

2、Miss Louの功績

3、唯一無二、パトワ語の魅力

1、パトワ語の語源

パトワはジャマイカのクレオールで、アフリカ奴隷が話すアフリカ語と植民地支配をしていたイギリス人が話す英語がミックスされて生まれたと考えられているそうです。ジャマイカの学校教育では、基本的にパトワは禁止で生徒には授業中は正しい英語を話すことが求められます。公用語である英語を正しく使えるかどうかは安定した仕事に就けるかどうかにも直結するため、学校現場では正しい英語の取得が求めれるのです。とは言っても多くの先生も生徒もパトワがネイティブランゲージのようなものですから、休み時間などはパトワで溢れています。

ジャマイカのお土産屋さんでよく見るパトワの壁掛け。出典「JAMAUSSIE」
http://www.jamaussie.com/jamaican-patois-patwa-for-dummies/

2,Miss Louの功績

ジャマイカ独立記念日や解放記念日では、必ず着られるドレス。ミス・ルーも度々着ていたこの
「ナショナルバンダナ」と呼ばれる柄は、ジャマイカの正式で伝統的な布に指定されている。
出典:JAMAICA NATIONAL DRESS

しかし、パトワこそがジャマイカオリジナルの文化を形成しているということで、文化保存のために学校でもジャマイカ語を教えるべきだと主張するグループもいます。Miss Louの愛称でおなじみのルイーズ・ボネット(1919-2006)は文化的パトワの保存に注力した人物ですが、ジャマイカの独立記念日や解放記念日などのイベントでは必ず彼女の功績が称えられます。

3、唯一無二、パトワ語の魅力

パトワの訛り方には規則性があります。「珍道中!ジャマイカ日記⑭」でも書いたhustling(ハスリング)が「オスリン」になるのはHの発音が抜けるからで、イタリア、スペイン、フランスでもHは発音しないそうです。N音がべたっとしてジャマイカ語のHow are youであるワーグワンが「ワーグワーァヌ?」になるのはアフリカ由来なのかもしれないし、なぜかSomethingの真ん中を全部省略して「ソッム」と言ったり、その規則性に気づくと「なるほどな~」と面白い。

レゲエの重鎮、故シュガー・マイノットの名曲「ハーブマン・ハスリング」のレコードジャケット。
前述した通りジャマイカ訛りではHが抜けるため「アーブマン・オスリン」と発音される。
出典:reggaecollector.com

今日はわたしが「なんじゃそりゃ!」と思った面白いフレーズをいくつか紹介します。

A it man! (アイッマン!)ほんまそれ!

Mi cyaan badda.(ミキャーンバダ)マジ無理。

Yuh nuh easy.(ユノイージー)やるやん。おもろいやん。さすがやん。

日本人が書いたパトワ語辞典はたくさんありますが、言葉遊びが好きなジャマイカンはどんどん新しい表現を創り出すので、私もいつか更新版を書きたいな~♪

ジャマイカの新聞のイラストはパトワで書かれる。
圧倒の速さで世界を制したアサファ・パウエルがウサイン・ボルトに「ステロイド打ったって俺達にはかなわないぜ」と言ってる。
出展 Jamaica Observer

ジャマイカのご飯 vol.1

美味しいジャマイカ料理をご紹介♪

 〈目次〉

1、ジャークチキン

2、アキーアンドソルトフィッシュ

3、カリーゴート

4、サンデーディナー

1、Jerk Chickenジャークチキン

ジャマイカ料理で一番有名なのがジャークチキンです。日本のレゲエバーでも必ずと言っていいくらい置いています。

「ジャーク」とは突き刺すという意味で、チキンをスパイスに漬け込む際に味が染み込むように肉をフォークなどで突き刺すことから「ジャークチキン」という名前になっているそうです。

ジャークチキンはジャークパンと呼ばれるドラム缶で燻し焼きにします。スモークされたスパイシーなチキン。これはビールが進みます!

ジャークチキンを家庭で作るための「ジャークソース」がジャマイカの大きいスーパーに必ず置いています。ジャマイカの代表的な唐辛子であるスコッチボネットペッパー、ニンニク、ネギ、タイムなどなど、沢山の種類の「シーズニング」と呼ばれる野菜や香辛料に漬け込んで作るジャークチキンですが、ジャークソースがあれば簡単に下準備できるという点で人気です。

日本で手に入りそうなのが、ジャマイカで人気、Walkerswoodのジャークソース。セント・アン県の「ウォーカーズウッド」という緑豊かな地域の工場で作っています。地元の起業家が小さな工場から始めて、今では大きな企業になっているローカルビジネスの成功モデル。日本でジャマイカグッズを扱っている方が販売しているようなので、気になる方はググってみてください♪

2、Ackee and Saltfish アキー&ソルトフィッシュ

でも実は、ジャークチキンはジャマイカの「ナショナル・ディッシュ」ではないのです。ジャマイカが正式に「我が国の代表料理はこれだ!」と言っているのが、アキー&ソルトフィッシュです。

写真の真ん中の黄色いスクランブルエッグのようなおかずが「アキソル」ことアキー&ソルトフィッシュ。アキーはackeeと書きます。赤い実の中に黄色い実が入っていて、それを下茹でしてから調理します。

実はこのジャマイカのナショナルフルーツであるアキー、日本のフグじゃないけれど、実が開く前に無理やりこじ開けて食べると死ぬくらいの猛毒だそうです。私が18歳の時にジャマイカに語学留学していた時、英語クラスにお隣の国ハイチからの留学生が「ハイチにいるお父さんに『絶対にアキーを食べてはいけない』と言われたから僕はアキーを食べない。」と言って、みんなに「えー!こんな美味しいもの食べないなんて!」と驚かれていたのを覚えています。

ソルトフィッシュというのは塩鱈(タラ)のことです。アキソル以外にも様々な料理で使われるこのソルトフィッシュは大西洋で採れるそうで、実は外国からわざわざ輸入しています。16世紀、イギリス統治時代にイギリス人が船に乗せても腐らないようにタラを塩漬けにして保存食として運び、ジャマイカ人のルーツであるアフリカ人奴隷に安価な食糧として与えていたことが始まりだそうです。

写真で黄色いアキソルを囲むのは、ドンプリンと呼ばれる小麦粉で作ったお団子。白いのが茹でドンプリンでドーナツのようなものが揚げドンプリン。他、茹でバナナ、揚げた「パンの実」、ヤム芋。

これは写真用にこんなにも炭水化物を沢山持って美味しそうに見せているのではなくて、ジャマイカのレストランでアキソルを頼むと本当にこれくらい盛られます。これを全部食べると1年に7キロくらい太ります(NPO法人LINK UP JAJA理事長調べ。実体験)。

上述した「パンの実」は「ブレッドフルーツ」と呼ばれる果実(かじつ)です。わたしの滞在先の裏庭にもでっかいブレッドフルーツの木があります。人の頭くらい大きい、重い実です。

緑色の皮が真っ黒になるまで直火でローストして、皮を剥くと白い実がほんのり黄色くなります。そのままでも美味しいですが、油で揚げるとまた美味しい~!むちゃくちゃ油を吸うので高カロリーだけど、ちょっと塩を振りかけると美味しくてパクパクいっちゃう!

3、Curry Goat カリーゴート

そしてジャマイカ人に大人気なのがヤギのカレー煮込み、「カリーゴート」です。日本で「マトン」が苦手な人はやはり動物臭が苦手かもしれませんが、カレーにすると臭みも抑えられ、その脂っこさでご飯が進みます。チキンやポークよりも割高なので、ジャマイカのご馳走です。

ジャマイカ産のヤギ肉は外国産のヤギ肉より高いです。ジャマイカでは両方売っています。「マトン」と「ゴート」はタンパク質の含有量などが違うそうですが、ジャマイカで「マトン」と言ったらオス、「ゴート」と言ったらメスだそうで、「シーゴート」SheGoatと言ったりします。

4、(カルチャー)Sunday Dinner サンデーディナー

手前の紫のカブのようなものはビーツ。甘酸っぱく炊くと美味しい!

ジャマイカでは「サンデーディナー」と言って日曜日にご馳走を食べます。ディナーと言っても午後2時くらいに食べるので遅めのランチな感じ。お腹いっぱい食べるので夕食はおかしをつまむくらいで済みます。

前日の土曜日はスープの日で、夕食は具沢山スープだけで済ませます。金曜日はケンタッキー(KFC)やハンバーガーなどファストフードを食べる人が多い。金曜日のKFCはだだ混みで長蛇の列だから私は絶対行かない(笑)!月曜から木曜の夕食は、あるものを適当に料理して食べます。曜日によって食べるものが決まっているって、日本にはない感覚で面白いですよね!

ストリートビューで行く!絶景ジャマイカ

海外旅行はもちろん、国内旅行さえも満足に行けない日々。

テレビやYoutubeを通して、異国の地に思いを馳せる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、コロナ禍の今だから楽しめる!在宅ジャマイカ旅行へお連れしたいと思います!

1、世界に誇るジャマイカの絶景ビーチ

世界ベストビーチに選出されることの多いカリブ海の島々。海に囲まれたジャマイカも例外ではありません。

中でも絶対に外せないのが、島の西部に位置するセブンマイルビーチ!

その名の通り真っ白なビーチが7マイル(およそ11㎞)続いています。

遠浅のため、透明度の高い海を奥のほうまで歩いて楽しめるのも特徴の1つ。

ストリートビューでもその透明度を十分楽しめますね!

ジャマイカではまだまだ写真の数が足りず、ストリートを歩ける部分はごく一部なのですが、

このセブンマイルビーチには一部散策できるところがありました。ぜひ遊びに行ってみてください。

2、ジャマイカを感じる壁画アート

海外旅行の面白さって、景色や美味しい料理だけではなくて、気候とか現地の匂いや音、街中の色使いなど日本にはない空気を感じるとこにあると思うんです!

気候や匂いはストリートビューでは分かりませんが、ジャマイカを感じられる地元の壁画アートを見つけました!

壁画の右に書かれているJimmy Cliffは、

グラミー賞受賞歴もある御年72歳のジャマイカを代表するレゲエシンガの1人。

1978年には日本公演もしたことがあるので、ご存じの方もいるかもしれません。

一番右の画にはGreatness, Self love, Joy, Mother, Visionなどポジティブな言葉が並びます。

ジャマイカの壁画はここだけではなく、レゲエアーティストの自画像を中心に町中に溢れているそう。

捜せばお気に入りの1枚が見つかるかも!

3、中まで入れる!魅惑の大聖堂から洞窟探検まで

ストリートビューと言っておきながら、楽しみ方は景色と外観の観賞だけに留まりません。

首都のキングストンにあるホリートリニティ大聖堂では、礼拝堂の中に入ってその荘厳な内装を見学することができます。

ステンドグラスはもちろん、天井の壁画まで見られるので、ぜひURLから飛んで心ゆくまで楽しんでください!

ホリー・トリニティ大聖堂 – Google マップ

英国国教会が背景にあるホリートリニティ大聖堂は、アジア・アフリカ・ヨーロッパと全世界に点在しいて、中でもオークランドにある大聖堂はそのステンドグラスの美しさかは圧巻です。

次にご紹介するのは、ジャマイカの北に位置するグリーングロット洞窟!

この洞窟、イギリス人がジャマイカ島に侵攻した17世紀には国外追放されたスペイン人の隠れ家として使われ、第二次世界大戦時にはキューバに武器を提供している密輸業者に使われていたそうです。

深さ12m、奥行き1525m。天井にあいた無数の穴からは太陽の光が差し込み、

奥には洞窟湖もあるそう!入口だけなのにちょっとわくわくしてきますね。

4、一生に一度は泊まりたい!海に浮かぶリゾートホテル

最後にご紹介するのは、ジャマイカ南西部にあるリゾートホテル、サンダルズサウスコースト

海に浮かぶお部屋からそのまま海へダイブすることもできて、露天ジャグジーも完備。

完全なプライベート空間で、カリブ海に沈む夕陽を2人占めにできちゃいます!

ちなみに1泊129,000円で最低2泊~。庶民の私には恐ろしい金額です。

ですがストリートビューであれば、無料で部屋の中を自由に歩いて夕陽まで楽しめちゃいます。

ここまで来たらもう死ぬ前に1度は行ってみたい!

宝くじを当てていってみたい!

5、まとめ

在宅ジャマイカ旅はいかがだったでしょうか?

最後はただの私の願望垂れ流しでしたが、本当に見どころ満載な国であることは間違いないです。

ご紹介した以外にも、ボートでしか行けない海上掘立小屋Barや地元のお土産屋さんなど、

探せば探すほど面白い写真が見つかります!

コロナ禍でもし暇を持て余している方がいたら、下見も兼ねて在宅海外旅行試してみてください!

【くらべてJaJan vol.1】 マンネリご飯にかけるだけ!簡単味変ジャマイカン!

日本から遠く離れた島国ジャマイカ。

「レゲエが有名だよね。」「治安が悪そう。」「ウサイン・ボルトの母国だったような。」「そもそもどこにあったっけ?」

誰もが1度は耳にしたことはあるけど、多くの日本人にとっては一生関わることもない未知の国なのではないでしょうか。

1492年にコロンブスが発見して以来、スペイン統治時代の奴隷貿易とイギリス統治時代を経て独立した国ジャマイカは、人種と文化が入り乱れるカオスなお国。

一晩では語りつくせない、クセになるそのおもしろさを少しずつお伝えしていきたいと思います!

初回となる今回のテーマは「調味料」。日本料理に醤油が欠かせないのと同じように、ジャマイカにも国民から愛される万能調味料があります。

その名も 「スコッチボネットホットソース! 

その魅力と、いつものご飯をワンランクUPさせるジャマイカ術をご紹介します!

〈目次〉
1、くらべてみよう!醤油vsスコッチボネットホットソース
2、そもそもスコッチボネットって?
3、簡単!ジャマイカ流ちょい足し術!
4、まとめ

1、くらべてみよう!醤油vsスコッチボネットホットソース

日本代表

  • 名前:醤油
  • 見た目:濃い茶褐色が一般的
  • 価格:236円(1L)
  • :塩より味に深みがあり、大豆の香りをほのかに感じる優しい調味料。
  • 使用方法:食材に直接かける。出汁に加える。他の調味料と掛け合わせる。食材を漬けるなど使い方は無限大。
  • 特徴:日本人が生きていくには欠かせない調味料。濃口醤油から白醤油まで5つに分類されているが、全国にはご当地醤油があり、最近では「たまごかけご飯専用醤油」などその可能性は留まるところを知らない。

ジャマイカ代表

  • 名前:スコッチボネットホットソース
  • 見た目:直径2~4㎝の丸みを帯びた唐辛子黄色、オレンジ、赤色が主流
  • 価格:約300円(150ml)
  • :ハバネロと同等の辛さだが、フルーツのような甘みと香りもある。
  • 使用方法:生食。食材を漬ける。
  • 特徴:カリブ海原産の激辛唐辛子、とにかく辛い。フルーティな辛みや香りを感じる。ジャークチキンを作るには外すことができない食材。

2、そもそもスコッチボネットって何?

スコッチボネットとはカリブ海ジャマイカでは定番の唐辛子。ミニパプリカのような小さく可愛い見た目とは裏腹に、その辛さはハバネロとほぼ同じ。

実はジャマイカ人辛いものが大好きなんです!

市場には赤、オレンジ、黄色のスコッチボネットが山のように並び、彼らはミニトマトでもあるかのようにそのまま食べます。もう1度確認しておくと、日本の鷹の爪のおよそ7倍の辛さをもつスコッチボネットをダイレクトに食べます。

生は怖くて食べたことありません。だって猛烈に辛いでしょ。絶対無理。

ちなみにジャマイカのソウルフード、ジャークチキンにもたっぷりと使われています。

生のスコッチボネットをミキサーにかけたソースにチキンを漬けてから焼いたり、スコッチボネットの粉末を他のスパイスと混ぜてからまぶして焼いたり。

美味しそうだけど、初めて食べるときには勇気がいります。

そんな辛いの大好きジャマイカ人。

彼らにとってスコッチボネットソースは日本人にとっての醤油と同じ。

肉や魚はもちろん、アボカド、お豆の煮物、目玉焼きなどあらゆるものにかけます。

3、超簡単!ジャマイカ流ちょい足し術

そしてこの激辛ソース、Amazonで買えます!

153gで519円。この値段で海外気分を味わえるのであればお安いのではないでしょうか。

聞けば分かる美味しいちょい足しから、意外な組み合わせまで3つご紹介します。

ペヤングソース焼きそば + スコッチボネットホットソース

手軽さ:★   辛さ:★★★   意外性:★

(味の感想)

フルーティーな香りをふわっと感じた瞬間、一気に辛さが襲ってきます。焼きそばなのに日本じゃない!東南アジアの料理ともまた違うエスニックな焼きそばになりました。いつもの味に飽きた方はぜひチャレンジしてみてください。

*刺身 + スコッチボネットホットソース

手軽さ:★★   辛さ:★★   意外性:★★

(味の感想)

今回は、鯛のお刺身に塩、オリーブオイルとレモン汁をかけてカルパッチョ風にしてみました。

鯛の風味が負けてしまうので、ほんの数滴かけるのが丁度良さそうです!後味にピリっとした刺激とさわやかな香りでさっぱり頂けます。

*マヨネーズ + スコッチボネットホットソース

手軽さ:★   辛さ:☆   意外性:★★

(ここまで書いておいて難ですが、)実はあまり辛い食べ物が得意ではない私、このちょい足しが一番のお気に入り。スコッチボネット特有のさわやかな香りをしつつ、マヨネーズのおかげで辛味がかなり抑えられています。お子さんでも楽しめる辛さ!エスニック感もありつつ、野菜スティックにしっかり最適なちょい足しだと思います!

<番外編> *バニラアイス + スコッチボネットホットソース

手軽さ:★   辛さ:★   意外性:★★★★★

(味の感想)

意外とおいしい!って言いたくてチャレンジしたんです。塩バニラとかあるし案外いけると思ったんですけどね。溶けたアイスとスコッチボネットソースがダイレクトに喉の奥に入り込んできて、もう完全に事故でした。味は全く覚えがないです。

意外とおいしい!って言いたくてチャレンジしたんです。塩バニラとかあるし案外いけると思ったんですけどね。溶けたアイスとスコッチボネットソースがダイレクトに喉の奥に入り込んできて、もう完全に事故でした。味は全く覚えがないです。

今回ご紹介したものだけではなくミートソースやピザ、納豆や豚汁など、スコッチボネットソースのポテンシャルの高さを実感しました。

4、まとめ

唐辛子の7倍の辛さと言われると身構えてしまいますが、フルーティーな味わいの優しさも備えるスコッチボネット。いつもの料理にほんの少し足すだけで、ジャマイカンを味わえるかもしれません!ぜひ終わりの見えないコロナ禍で、晩御飯のメニューに悩んでいる方はぜひお試しください。

コロナ渦ジャマイカ日記 〜1月19日 2021年〜

Jamaica Day7/ 自主隔離 Day6

こんにちは。NPO法人LINK UP JAJA(リンコップジャジャ)代表 永村夏美の

なんちゃってジャマイカ社会学・インフラ編「水」

滞在7日目、初めての雨が降ってます。

ジャマイカで水が止まるのは日常で、干ばつやポンプの故障で数カ月間水道から水が出ないなんてこともままあります。高級住宅地でも時折水が止まり、貧しい地区にいけば水が止まる頻度が上がるし、そもそも水が来てないってこともある。

2018年ブルーマウンテンに住んでた時は2カ月間水が止まって辛かった。川でシャンプーして楽しいのは最初の2回だけでしたね。笑

今も、隣町では2カ月くらい水が止まってて大変だと友達が愚痴ってました。だから、雨はBlessings!文字通り恵の雨(そうかと思ったら大雨で洪水になったりするけども…)。

幸い、わたしが今滞在している地域はほとんど水が止まらない。この地域独自の水源をこの土地の水道局が管理しているからと聞きました。水が止まるってすんごいストレスだから、本当に有難いことです。

私はこれまでアップタウンのNew Kingston、メインストリートHalf Way Treeの外れ、ブルーマウンテンの裾などに滞在しましたが、水事情は今いる場所がダントツいけてます!うちお湯シャワー出るので病みつきよ。もう日本の銭湯なんて極楽!

ジャマイカは水道水が飲めるのですが、実はこの国の水道事業に日本が大きく関わっています。1966年の日本政府による有償資金協力では、66.44億円規模のプロジェクトが行われ、浄水施設の修復や拡張などが行われたそうな。

でも、ジャマイカという国の語源は【ザイマカ=木と水の大地】。本来ジャマイカに水は豊富にあるはずなのに、なんでそんなに水に困るのや??

これはやっぱり「お金が無いから」みたいなんですねぇ。老朽化したパイプを直すお金が無いから水がダダ漏れ。加えて貧しい人がメーターの無いところから水を盗むなどして、料金が徴収できない「無集水率」が60%くらいあったとか(日本は10%くらい)。上述したプロジェクト以後どれくらい無集水率が下がったのかは資料が見つかりませんでしたが、少しは改善されたのかな?でも、メンテナンスにもお金がかかるもんねぇ。

ところで、漏れた水、盗まれた分の水道料金は誰が負担するかというと、水道料金を払う人が負担するんです。だからジャマイカは水道代が高い。「おいおい、無茶苦茶やな!」と思うけど、ジャマイカ全土のパイプやポンプを直すための資金(つまり税収)や、それほどの莫大な借金をする体力が、ジャマイカ政府に無いのでしょう。

いくら豊かな自然から湧き水が湧いても、それが市民に届くまでにはお金がいるっちゅうことですね。やっぱり、お金。モニモニモニモーニ♪(Discoのセグメントでかかるやつ、ABBAじゃなくて、何だっけ⁈)

日本はジャマイカに様々な技術協力、資金援助をしてるので、ジャマイカマニアもしくは税金の遣い道マニアの方は、在ジャマイカ日本大使館HPで資料を見られますよ。

なんちゃってジャマイカ社会学インフラ編、次回は「電気」か「道路」です。